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Update - 25 Sep 2024 | ![]() |
07■200711 動く機構は動作のモデリングから始める 動く機構のアセンブリでは、必要な部品をモデリングした後で、実際の製造や動作と同じ順番に組み付けられているものをよく見かける。しかし、これでは設計できないことに気付いてほしい。設計で考えていく順番と製造(動作、機構)の順番は全く逆になるのである。
目次
◆リンクの動作
◆カムの動作
◆シリンダの動作
◆リンクの動作 身近な場面でも見かける並行リンクを例にして考えてみよう。基本的な構造は、×字型に連結されたリンクのうち1本が固定支点となっており、他の1本をガイドに沿ってスライドさせると、リンクの先端部が上下するというものだ。
![]() ![]() 複数の部品を連動させて動かさなければ、という意識のせいだろうか、実際に工場で部品を組み付けるような手順で、3DCADのアセンブリを構築してしまう設計者も多い。
そのようなアセンブリでは、最初に必要な部品を全てモデリングする作業から始まる。そして、出来上がった部品の穴に軸を挿入したり、部品の面同士を合致させたりしながらリンク機構を完成させていくのだ。
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 深く考えないと、すんなり受け入れてしまいそうな手順であるが、これらの作業は設計の終わったリンク機構を3DCADでモデリングしているだけに過ぎないことに気付いてほしい。
このような方法では、「スライドブロックを動かす」→「リンクの先端部が上下する」という実際の動きはシミュレーションできても、「仕様に従ってリンクの先端を上下させたい」→「必要なスライドブロックのストロークを知りたい」といった、設計検証ができないのだ。
それでは、どのように考えればよいのだろうか?
設計の手順としては、実現したいリンクの動作を検討した後に、個々の部品形状を決めていくはずである。手描きや2DCADの時代には、紙にリンクの竹ひごだけをスケッチしながら、動きを検討していたと思うが、3次元CADでも手順は同じことだ。まずは、最も重要な「動作」からモデリングを始めるとよい。
(1)アセンブリ内に平行リンクの動きをスケッチで作成する。リンクの中心線だけがあれば動作の検討は可能である。
![]() ![]() (2)動作の検討が終わったら、直方体1個で作成したリンクを動作検討済みのスケッチに組み付けていく。この時点ではリンクを詳しく作りこむ必要は無い。
![]() ![]() ![]() ![]() (5)それぞれの部品は直方体や円柱だけの簡単な形状であるが、リンク機構としては完成しているのがよくわかる。あとは全体を見ながら、詳細形状を作りこんでいけばよい。
![]() ![]() ◆カムの動作 カムの図面を前にして、「このカム形状をモデリングしたいのですが」と聞かれることがある。では、カムの動作を定義する「カム曲線は?」と尋ねると、図面に記載されていないことが多いのだ。
カム形状は動作の結果に過ぎないので、完成形状だけが記載された図面では設計の役に立たない。作図自体は簡易形状でも点郡をプロットしたものでも構わないのだが、カム曲線が正式図面として管理されていないのは困ったことである。
![]() ![]() 実際の機構では、カムの回転に従ってカムフォロアやタペットが動くということになる。しかし、設計手順は逆に、カムフォロアやタペットの動きをカム曲線として設計し、それに従ってカムの外形を作成しなければならない。
![]() ![]() 基本的なことではあるが、3DCADの操作ばかりにとらわれていると、本質を見失った方法でモデリングしたカムを生み出してしまう。ここでも、基本は動作からモデリングすることである。
◆シリンダの動作 リンクやレバーを動作させる動力源に、モータやエアシリンダを使用する場合も、設計の目的から考え始めることが重要である。
どうしても、「シリンダの動き」→「レバーの動き」→「ワークの動き」と考えてしまいがちになるが、やはり設計プロセスとしては「仕様に従ってワークを動かしたい」→「ワークの動作に従ってレバーが動く」→「レバーの動作に従ってシリンダが動く」ということだろう。
(1)仕様に従ってワークの動きを決め、アセンブリ内にレバーの動きをスケッチで作成する。
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