百戦練磨の金型屋さんや成形屋さんと対等に(なかなか出来ないんだけど)話をするためには、何がポイントなのかを理解しておく必要があります。
成形トライにて
成形屋 「今日は予定してた 150トンの成形機が空いてなくて、250トンしかないんで…とりあえず、これでテストさしてもらいます」
設計者 「しゃーないなぁ〜(ぉぃ、ぉぃ!)まあ、大き目の成形機でやっとけば大丈夫(何が!?)かな」
成形屋 「成形している間は暇やから(条件出しで色々やってるところを見られたら、かなわんしなぁ)お茶でも飲んで待っといて下さい」
…お茶…
成形屋 「なんとか成形条件を調整して、トライ品ができました」
設計者 「あ〜っ、もうこんな時間かぁ…とりあえず、帰るわ」
解説
まあ、このような成形屋さんや設計者はそんなにいないと思いますが、かなりいい加減ですね。事前連絡もなく(あっても駄目だけど)、テスト用の成形機を変更するような成形屋さんは信用できません。成形品には適切な大きさの成形機が必要で、小は大を兼ねないのはもちろん、大で小を兼ねることもできないのです。
小さな成形機では型締力の不足が、バリ、反り、ヒケの発生要因となります。逆に、過大な場合は、反り、焼け、フロー等の発生要因となります。なぜ、そうなるのかは今後のメールマガジンで後日詳しく説明するとして、上記のケースでは「適切な成形機で成形してくれないのであればテスト中止!」と言って帰るぐらいの覚悟が必要です。
設計に限らず、何かの判断で迷ってしまった時、あなたならどうしますか?昔、こんなやり取りがありました。
(部下)あの〜、この部分の設計なんですが、今まで進めてきたA案で行っても良いと思うけど、B案の方も良いような気がしていて…
(上司)A案で行くほうが楽だなぁ、ただB案でやり直しても、時間的には厳しいけど不可能じゃないよ。
(部下)…(A案で行けば、余計な仕事をしなくていいな)…
(上司)何を悩んでいるの?
(部下)…(でも B案だと、やり直しかぁ)…
(上司)君は不安に思うから相談しに来たんだろう?だったら、不安を解消するB案に変更しなさい。設計者の不安はだいたい当たってるものだから。
(部下)確かに、不安を残したまま設計したらだめですね。
(上司)設計者の良し悪しは、誰かが決めるのではなく、「時間」で裁かれるものだよ。現時点をA案で切り抜けたとしても、いつかどこかでボロを出す。 「時間」に裁かれても耐えられる設計者になりなさい。
あなたは、時間に裁かれても大丈夫ですか?こんな事を書いてしまうと、自分はどうなんだと言われそうですね。