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Ryu-na Design and Engineering

2000.07/29 No.021(850部)


Pro/E 禁止コマンド(回転)

 講習やトレーニングの課題で、「段付シャフト」や「コーヒーカップ」を回転コマンドでモデリングした経験はありませんか。
  回転コマンドは、断面をスケッチして回転させて突起やカットを作ります。必要な断面を一気にスケッチすれば、少ない手数(フィーチャ)でモデルを作成することが出来るため、初心者からベテランまで思わず使ってしまうコマンドです。

 こんな便利なコマンドが、どうして禁止なの?と思われるかもしれませんね。回転コマンドは、まず、断面を決めてスケッチしなければなりません。2次元図面からのモデリングだと、断面がすでに解っていますから、問題ないように思えます。但し、変更になった時は困りますね。 スケッチした断面を書きなおさなければなりません。

 もっと、つっこむと、スケッチする断面を決めるのが設計ですよね。つまり、設計が終わっているものをモデリングするのには良いが、こんなことをしている限り設計はできないのです。

 モデリングを仕事にしている人でも同じです。後での変更、納品先での使い勝手を考えると、一気スケッチの回転は後が続きません。

 段付きシャフトなどは、通常、円柱(円をスケッチして押し出し)で作り、段ごとに積み重ねていきます。

日本 Pro/USER カンファレンス 2000 報告

 今年の「日本Pro/USER カンファレンス 2000」は下記の内容で開催されました。
会期:2000年7月24日(月)10:00〜20:00、2000年7月25日(火) 9:00〜18:00
会場:ホテルパシフィック東京(品川)
会費:レセプションパーティ付、\10,000(7月7日までの申込者)、\12,000(7月7日以降の申込者)

 私は2日間とも参加しておりましたが、初対面でいきなり連絡下さった方もおられて、お互いに良い刺激を得られたと思っています。

 さて、ユーザ会の詳しい内容は書けばキリがないし、裏話や会場の熱気などを持ちかえられるのは、参加された方の特権だと思いますので、ここでは印象に残った言葉や雰囲気といったことを中心に書いてみたいと思います。

Cutting edge, Pushing the envelope

 基調講演をされた、ハリスコーポレーションのドン・パターソンさんが、常に最先端で、革新し続ける… という意味で使われていました。

 Pro/ENGINEER の将来性を見抜き、Rel.2 から使われています。初めて Rel.2 の画面を見ましたが、Rel.19 までの画面とほとんど同じような感じです。彼も講演の中で言っていましたが、Pro/E を将来性の高いツールと認定したのは、機能内容の拡大が容易で、不足しているのはそれを収める枠が小さいからだけということでした。

 確かにそれは感じますね。 今回のユーザ会では Pro/ENGINEER 2000i2(Rel.22)の機能紹介も行われていましたが、機能追加、ユーザインタフェースの改善などを行っても、基本機能はびくともしていません。

マップ手法、××手法、??手法

 設計手法に関する発表も何件かありましたが、全般的に感じたのは「手法」におぼれているのではないかということです。

 最初に手法ありきではなくて、プレーンな状態で設計してみて、困った項目を解決するために、いろいろ工夫しましょうというスタンスが正解です。ともすれば、マップ手法なりをいきなり使って見て、地獄の連鎖に陥ってしまったことはありませんか。使わなくても、十分設計できる製品もあるし、かなり注意して使わないと設計できない製品もあります。

 マップ手法(に限らず)で設計しましたと言われると、そのマップ手法自体を考えるのが設計ではないのかな… と突っ込みを入れたくなるのですが。

意匠デザイン

 意匠デザインに Pro/ENGINEER を使おうとする時、ユーザインタフェースが悪い、思ったとおりの曲面ができない、などという抵抗に遭います。

 結論から言えば、世の中にある工業製品でモデリング出来ないものはありません。但し、「モデリングしたくないも」はあります。ゴジラのイガイガ、自称デザイナの書いた2次元図面…

 今回の発表でも、意匠デザイナ×設計者×モデラの関係について、どのように考えるか、という話がありました。自分の造形力不足(CADの操作ではありませんよ)をモデラや設計者に押し付けているような「意匠デザイナ」がたくさんいると、しんどいですね。

Pro/ENGINEER 2000i2

 新機能の説明というよりは、ほとんどがユーザインタフェースの大幅な改善ですね。これで、Pro/E はメニューの階層が深いから、マック(?)みたいじゃないから、などといって使うのを避けてきた人たちは理由がなくなりますね。また別な理由をひねり出すのかな?

 中には無駄と思われるような機能(というよりはインタフェース)の追加もありましたが、よくわかっている人は使わなければ良いだけです。反対に、とっつき易くなったからといって、設計できるわけではありませんから、今まで以上に注意が必要かもしれませんね。

 使いやすいと言われている、ミッドレンジCADに乗り換えてみたが、結局同じだった…という経験はありませんか?

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